唐突ですが、香港の建築の大ファンです。
香港のビルは本当に個性豊か。香港のひしめき合う街の中で「私はここです!」って主張し合っているような押し出しの強さがいい。なんかもう街じゅうあちこちにランドマークがある!みたいな。日本とはもちろん建築法が違うし、風水カルチャーも反映されているし、地震もあまりない土地柄だからできることもあるのですが(あったら大変)。
で、ファンとしてもっと香港建築を知りたい。そんな香港建築ファン(いるのか?)が今見るべきものは…それがこちら金鐘(アドミラルティ)にできたThe Murray Hong Kong(ザ・マレー香港)です。
1.リノベーション系最新ホテル、ザ・マレー香港。そのデザイナーは…?
先にお伝えしておきますが、私は今回泊まっていません。本来なら真っ先に泊まるべきところですが…お値段は私が見た時で、1泊6、7万から。遊びまわってほぼ部屋にいない私としては、もったいなくてとてもとても。
でも実際に行って、まずは外と中を見てみたかったのです。
このホテルは、1969年に誕生した香港政府(当時は英国領)管轄の建築がベース。イギリス人建築家ロン・フィリップス氏の手によるもの。当時はこれが香港に「デザイン建築」という概念を生んだようです。そしてこのほど、その歴史的建築のリノベーションを手がけたのはイギリス建築界の巨匠ノーマン・フォスター卿率いるFoster+Partners(フォスター・アンド・パートナーズ)!
香港国際空港(HKIA)、香港上海銀行(HSBC)本社ビル…
香港でのフォスター卿の代表作。香港に行ったことのある人なら全員もれなく見ているはず。つまり香港のモダン建築は彼なしには語れないのです。
しかも今回フォスター・アンド・パートナーズは、1969年当時の建築家、ロン・フィリップス氏(御年90歳)とともにリノベーションを計画したのだとか。最初に作った人の思いを大切にするって、リノベの理想ではないでしょうか。
ああ、私の話が長い。では探検にでかけましょう。
2.ホテル内を勝手に探検!
ゆるっとしたスロープを上がってだったか、たどり着いたのはホテルの2階部分と思われる実質的なエントランス 。タクシーやバスに乗るのは地上階ですが、ホテルの顔という意味ではこちらのような気がします。
このテラスには「國福樓」というミシュラン常連の中国料理店が入っています。家族旅行で行く人に「幅広い年齢に喜ばれる中国料理のダイニングはない?」と聞かれることが多いのですが、そんな時ここいいかも。
小道を歩いて振り向くと、ホテルの向かいに古い教会。
こんな西洋建築も竹で直すあたりがVery香港。でもこのエッグタルト色の教会は、なんとなくマカオ。
建物に入ると、吹き抜けの廊下になっていて、地上階のロビーが見えます。左がこのようなロビースペースで、右がレセプションだったような。空間把握能力が著しく低いので自信がありません。
その先がラウンジとダイニング。こちらはダイニング。逆側にアフタヌーンティーなどを楽しめるラウンジがありました。かなりエレガント&マダムな印象。
エレベーターホールにはこんなアートピースもありました。
黒と金で彩られたゴージャスな空間。ノーマン・フォスター卿としては、けっこうフォーマルでクラシカルな印象を受けました。やっぱりそれは元の建築へのリスペクトと外観との調和を考えているからなのでしょうか。
3.レトロで個性的な外観をチェック。
というのも外観は、基本建築当時そのままなのではないかと思われます。
チャームポイントはこの高ーいアーチ。遠くからでも「あ、これがザ・マレーだ!」と気づかせる特徴になっています。
あとこの斜めに並ぶ窓も面白い。
この窓の内側から眺める景色はどんななんだろう…?
やっぱり泊まってみたいな。TO DOリストがまた一つ増えました。
1970年代は政府のオフィスビルとして、近年はなんと駐車場(!)として使われていたというこのビル。こんなお宝建築が都心に眠っているなんて…! 香港建築の可能性は計り知れない。
最近の建築と言われても納得しそうなこの建物ですが、一つ、すごく時代を感じたのはその意外なこぢんまり感。25階建ての外観は、周りの超現代っ子なビルに囲まれるとすごく背が低い。今の香港だったらこんな中心部にこんな低層ビルは考えられないでしょうね。
4.他にもまだある、香港名建築。
そしてノーマン・フォスター卿と並ぶ現代建築のスター! ザハ・ハディド氏の作品も香港では無料で見学できます。こちらも好きです。
そしてThe Murray Hong Kong(ザ・マレー香港)から金鐘のトラム乗り場までは徒歩5分。坂を下ればすぐ。
途中、歩道橋でふと振り向いたらこれも力宝中心が見えました。
コアラがいっぱいくっついてるように見えるから、通称コアラビル。やっぱり香港の建築は楽しい。見て、聞いて、文字通り見聞を広める旅がしたい。そんな今の気分にジャストフィットでした。ノーマン・フォスター卿の作品は、今年から来年にかけて、さらにいくつかオープンする見込み。
いいぞ、香港建築!
働きすぎだ、フォスター・アンド・パートナーズ!