PPF無視、ムダ時間満載のSFC修行2024の旅も、佳境。SFC修行の本丸・石垣島日帰りも思いっきり楽しんでまいりました。 というわけで石垣島最終回。
ジュースを飲めといいつつ、運転手さんはヤシの原生林に分け入る。
わりと険しめな山道を、カーディガンとサンダル履きでぐんぐん登っていく。歩くのがめちゃくちゃ早い。「待ってください」と言いながらジュースも飲まなければいけないし、これでは無酸素運動だ。しかしそれでも来てよかった。八重山ヤシはとにかく背丈も葉っぱも巨大だったから。石垣島では人は小さい存在だ。
八重山ヤシの滞在は10分ほどだった。
そこから猛急なスピードで川平湾に向かう。グラスボートの出発時間が迫っていたのだ。出発1分前に私をグラスボートにぶち込むと、運転手さんは去っていった。
グラスボートに一人で参加しているのは私だけだったけれど、かまわなかった。
それより前から乗りたかったグラスボートに乗れたことがうれしいし、泳ぐ野生のウミガメも何度も見ることができた。ウミガメを見つけるたびに「あ、いた!」と叫んで他の観光客に教えたりしていた。子供か。
30分後、満面の笑みで帰ってきた私を砂浜で運転手さんが待っていた。
運「見れたか、ウミガメは」
私「見れました!ありがとうございます!」
興奮冷めやらぬなか、おじさんはまた山に分け入っていく。わけがわからずついていくと、川平湾を見渡す丘のてっぺんについた。海がびっくりするほど青い。宮古のぞくっとするほど透明なブルーとも違う。まじもんの珊瑚礁の海に来た…という感慨がわく色合いだった。
そこからまたものすごい勢いで空港に向かう。
道中、運転手さんおすすめの泡盛を聞いた。
運「おねえさんは酒が好きか」
私「はい」
そう言うと、おすすめの泡盛を教えてくれた。銘柄を書こうと思ったが、いまこの原稿の下書きにメモしてあったものを間違えて削除して思い出せない。無力だ。ちなみにおじさん的に、石垣みやげのおすすめは天ぷら(さつまあげ)だそう。「本島とは比べ物にならないほど魚が新鮮だから」という。運転手さんはよく天ぷらをパンにはさんでランチにしているそうだ。斬新この上ない。
そして長いドライブの中で、最近ちょっと気になっている沖縄民謡の話になった。好きな曲はあるかと尋ねられ、私は「唐船ドーイ」という曲をあげた。
唐船ドーイを知ったのは、那覇のゆいレール「壺川駅」のチャイムとしてだった。BPM高めの曲調がやみつきになって動画や歌詞を調べたところ、この曲はその昔、いろんな珍しいものを積んで唐から来た定期船「唐船」が港に入ってきた高揚感を表した曲。そしてこの曲は結婚式や親戚の集まりでも流れる鉄板のダンスチューンということだった。運転手さんにそのことを尋ねると、「同窓会でも必ず踊るね〜」といって、走行中のハンドルから両手を離してカチャーシーを踊り始めたので泣きそうになって止めた。石垣で人生が終わるところだった。
唐船ドーイを聞いて踊り出さない沖縄人はいない、という噂は本当だった。
なんとか空港にたどり着いた。
空港の制限区域外にある八重山そばの店もおすすめしてくれた。
ここでは八重山そばより、ソーキそばが断然おすすめだという。実際おじさんと別れてから食べに行ったけれど、これはものすごくおいしい。950円と高いけれど、これでもかとソーキが入っている。
「ミルミル」というアイスクリームやさんもおすすめだそう。こちらはアイスもいいけれど実は石垣牛バーガーがうまい、というツウな技も伝授してくれた。
この2時間半8000円のドライブを高いと思うか安いと思うかは人次第。
だけど私にはとんでもなく有意義な2時間半だった。そんなことを思いながら、げんこつみたいなソーキにかぶりついていたら私の名前が放送された。保安検査場に行けということらしい。名残惜しい。空港には飛行機に乗るまでの間を寝たりぼんやりして過ごしている家族連れがたくさんいた。おばあちゃんから孫、親戚まで大所帯というかんじ。コロナ前だったらサイパンとかグアムに行ってそうな客層だった。
石垣島は、植物も、海も、空も大きかった。
沖縄の本気を見せつけられた1日だった。