羽田ー石垣線のオラつき感にじゃっかん気圧されながら、「南ぬ島石垣空港」に到着。ここでチャーターしたタクシーの運転手さんが待っていた。一人で、タクシーをチャーターした、夕方の那覇便までの2時間半だけ。しかも今回(私がタクシー会社に課した)リクエストはこうだ。
◎石垣空港から川平湾に行き、グラスボートに乗りたい。
◎できればそこで野生のウミガメを見たい。
◎その途中に八重山ヤシの群生林があるからそこにも寄りたい。
◎おいしいマンゴージュースが飲みたい
◎全部果たして2時間半では帰ってきたい。
◎お金はそんなに払えない。
わんぱくすぎるオーダーだ。
グラスボートとは船底がガラスになっていて、海の中をのぞけるようになっている観光船のこと。そこで運がよければウミガメが見られるというので、それを期待していたのだ。ウミガメは野生なので彼らの都合もあるだろうが、以上のことをタクシー会社に直電してリクエストし、値段交渉した。その前にはネットで調べた観光エージェントにも電話したが高すぎて2分で交渉決裂。タクシー会社は地元っぽいところに適当に電話して、電話に出たおじさんが人がよさそうだったのでそこに決めた。2時間半で8000円とかだった。
空港に着くと運転手さんは挨拶もそこそこに車に案内した。
Googleマップで見ると空港から川平湾は車で30分くらいなのに、なぜそんなに急ぐのだろう。島時間じゃないんか。そんな私の不思議そうな顔を見ることもなく、運転手さんは超あせっていた。そして行けども行けども、八重山の山々。海は見えない。
私「思ったより遠いんですね。川平湾」
運「みんな近いと思ってるけど、石垣島は意外と広いよ」
私「途中でヤシの群生林も見られますか」
運転手さんはすぐには答えなかった。しかたがないので、車窓を流れる景色について尋ね続けた。
なぜこの島は宮古にはなかった田んぼが石垣には多いのか。
なぜ木はことごとく平たいのか。
すると運転手さんは言った。
運「おねえさん、植物が好きなのかい」
私「好きです」
すると「一瞬ならヤシの群生林にも寄れるかもしれない」と言って、スピードを少しあげた。ちなみに田んぼが多いのは山とそこから流れる川があり(宮古にはあまりない)、伏流水で稲作ができるから。木が低く平たいのは、台風の圧を逃すため。だそうだ。自然も考えている。
車で20分ほどでヤシの群生林に着いたとき、おじさんはまず私を「一番おいしい」というジューススタンドに案内した(といっても2軒しかない)。こっちのほうが安くて、くだものがフレッシュなのだそうだ。
私が買ったのは、おじさんイチオシの「マンゴーパパイヤミックス」500円。
サトウキビの収穫シーズン直後のいちばん甘い時期らしい。ついでに、「87歳のおばあが揚げるサーターアンダギー」も購入した。おじいおばあがブランド化している沖縄。羨ましい。いつか私が東京でおばあになったときもそうなっているといい。
それにしても石垣島は物価が高い。
いってみれば、石垣島は日本のハワイである(偏見)。
宮古でも思ったが、沖縄の離島に来る人は基本リア充でパリピである(これも偏見)。某インフルエンサーがホテルを一棟買ったなんて話も最近はあったけど。
さあ、ヤエヤマヤシの群生地をみて、川平湾のグラスボートの船の時間には間に合うのか?? 呑気に構えていたところ思った以上にギリギリだったことがわかった。そして、旅はさらに加速していくのだった。