
気づけばSFC修行も最後の旅程である。そんなラスト修行に行っておきたかったところがある。
首里の遺跡群だ。
ご存知のとおり、いま首里城は焼失して存在しない。だけど私は何事につけてもメジャーどころよりマニアックが好きな女で、首里城よりも周りに点在する遺跡群にがぜん興味があった。
◎王様が客人をもてなすために作った人工池「龍譚」
◎王様がお父さんのために作った陵墓「玉陵」
◎王様が遠出するときに無事を祈った祠「首里森御嶽(ウタキ)」
◎首里城の裏からえんえんと続く石畳の坂道
最初の3つは、王様のライフスタイル関連遺跡とでもいおうか。しかしそのどれに行くにしても、首里は車がないと大変なのである。
ましてや1泊、しかも直前でも取れる便で行き来すると決めている修行旅ではなかなかハードルが高い。直前で取れる那覇発ー羽田着はだいたい早めの時間になる。帰りのラッシュにも巻き込まれなくてそのほうがラクなのだが、何度も書いているように朝の遅い沖縄ではできることが限られるのだ。
でも今回は15時台の出発。余裕である。ラウンジに寄る時間もいらないので14時までは首里にいられるだろう。そのために便利な安里駅前にホテルをとったわけだし、早々にチェックアウトして首里へ向かった。電車ではなく、バスで。
「龍譚」でへんな鳥、バリケンと触れ合う。

龍潭についたとき、雨は降ったりやんだりしていた。
ネットの口コミをまとめると「池が汚い」「へんな鳥がたくさんいる」とのことだった。私は無類の生き物好きだ。池よりもへんな鳥が気になって仕方なかった。
池に行くと、そのとおり、フォルムはニワトリとかチャボっぽいが白黒まだらの水鳥がたくさんいた。水鳥と言っていいかわからない。なぜかというと、彼らは雨がざっと降り出すといち早く雨宿りをするのだ。あと木の上にもいる。
調べてみると彼らはバリケン、通称「台湾アヒル」だった。通常、水べりの樹上にいることが多いらしい。やっぱり水があまり好きではないらしい。尻尾をふりふり、ハアハアガアガア鳴いていて足元に来るので触ろうとしたけど(私は動物は全部触ってみたい派)寸前でよけられてしまう。ちなみに食べるとおいしいらしい。確かにそんなかんじの肉付きだった。
池は評判通り汚かった。

人気のない「玉陵」で、ひとり花様年華ごっこ。

石造りの荘厳な建物をガジュマルなどの南国植物が覆い尽くすさまは、タイのアユタヤ遺跡を思い出す。ここでもざばっと雨に降られて、廟所の門で一人雨宿りをした。
そういえば私の好きな香港映画「花様年華」ではトニー・レオンがアンコールワットを訪れて秘密をつぶやく(?)場面があったっけ。天気がよくて旅行シーズンならたくさんの人が訪れる場所だろうが、いまは私ひとり。贅沢。

雨の中、手を合わせながら最近のできごと、これからのことなどをぶつぶつと報告、相談してみた。これでは自分の家族の墓参りだ。
それはともかく沖縄の遺跡は植物とともにあって、訪れるだけで気持ちがいい。一方で駅から遠いし歩くので夏が訪れる前に行くのがいいと思う。

そしてお城を抜けて下町へと続く石畳の「いかにも沖縄〜!」な坂道散歩の話を書くつもりだ。あ、あとホテルもいつもと違うシティリゾート(?)なところに泊まったのでその話もしたいです。終わりそうで終わらないSFC修行。いま修行している人たちもきっとそんな思いでやっているだろうな、そう思ったらあと一息なので、もう一気呵成にやっつけちゃってくださいな。
