伊丹から神戸経由、那覇の話は前回をご覧いただくとして(これ↓)今回はこのSFC修行シリーズで那覇で一番泊まった(と思われる)「ダブルツリーbyヒルトン那覇」とその周りの旭橋エリアの話。
那覇についたときはすっかり夜だった。
1月の夜風がぬるい。到着ロビーの「ポーたま」を買ってホテルへ向かう。
ポーたまというのは沖縄のソウルフードの一つ「ポーク玉子おにぎり」の人気店で、支店も多い。なかでもANA側到着ロビーの店「ポーたま」は毎回長蛇の列で、初めての今回こそ並んだが、いろいろ調べた末に並ばずに買える方法を編み出した。その話は長くなるので次回かその次くらいに。
ゆいレールの旭橋駅から徒歩30秒。ダブルツリーバイヒルトン那覇は、ヒルトンのカジュアルラインで沖縄エリアにはけっこうある。カジュアルラインというと普請が安っぽくなりがちだけれど、ダブルツリーはシンプルではあるものの造りがしっかりしているのがいい。
ダブルツリーbyヒルトン那覇の好きなところ。
◎シモンズ製のマットレスがいい。
どこに行っても私は寝心地がよかったと思うマットレスは、わざわざシーツをはがしてどのブランドか確認する厄介な癖がある。それを繰り返しているうち自分はシモンズ(ちょっと硬め)派なのだなと気づき、家もシモンズにした。ここも快眠できたのでめくって「やっぱりシモンズかー」と納得。
◎比較的部屋が広い。
何度も書いているが、きれいで狭いホテルより、多少汚くても広いホテルを選ぶ人間だ。ここはきれいだけど。
◎カーシェアがいくつか近くにある。
いくつかあるのはうれしいけど、出し入れがしやすいところは借りられていることが多い。このときだったか、出遅れた!と思ったらこのような限界カーシェアだった。
「ダブルツリーbyヒルトン那覇」にがんばってほしいところ。
◎焼きたてのクッキーはくれなくていい。
いきなりウリを否定して申し訳ありません。ダブルツリーといえば「焼きたてのアメリカンなクッキーをチェックイン時にもらえること」が看板サービスだが、水飴と小麦粉を練って作ったようなでかいクッキーは私はそんなにほしくない。そういう人にはホテル代500円返却してほしい。シーツを変えないとか部屋の清掃を断るとかはエコしぐさとして最近は定着しつつあるけど(私はエコだと思ってないけど)、今度から断ろうか。でもくれるともらっちゃうんですけどね。
◎空調とかルーターとか時計とか、夜中に光を発するものが多い。
寝るとき電気は全消し派なので、小さい強い光(緑色とかの)は地味に困る。それをフタするために使わなくなったファンシーシールを持ち歩いている。ばんそうこうでもいいのだが、厚みのあるぷくぷくシールがおすすめだ。ちいかわとかの。
◎モーニングできるカフェが近隣にあったらいい。
これはヒルトンに言ってもしようがないんですが、近所で唯一モーニングをやっている喫茶店「ふぁみり〜inn」は私が泊まっている日はだいたい何の張り紙もなく休業だった。名前もゆるいが態度もゆるい。島時間。
あとこれはもうどうしようもないんですけど、水。
髪がぱさつきまくる。アメニティはクラブツリー&イブリンだから安心かと思いきや、水が髪に合っていないらしい。その後も広がり、ぱさつき、うねりなど髪の悩みを一身に背負ってSFC修行を続けることになった。
SFCに加えて、ヒルトン修行もした?
してません…。
SFC修行を始めた頃は「ダブルツリーは沖縄にいくつかあることだし、ヒルトン修行もしよっかなー」などと考えていたが、途中でどうでもよくなってしまった。那覇には個性豊かでお手頃なホテルがたくさんあるからだ。ひとつに絞るのはもったいない。
「ダブルツリーbyヒルトン那覇」の周辺は、戦前の那覇の中心地。
ホテルのある旭橋駅の近くは、ややさびれた歓楽街になっている。東町と西町という区画で、実際タクシーの運転手さんにもそのほうが通りがいい。
このあたりは戦前の那覇における中心地だったらしい。それを知ったのは、さほど目立たないホテルの前に、「このへんは昔沖縄いちの目抜き通りで、ここにデパートもありました」というような説明が書かれていたのを見たから。
港にも近いことから、このあたりは役所も立ち並び、いっときは首里までの路面電車も通っていたほど栄えた地域だったのだそうだ。けれどいまこのあたりに、往時の面影はまったくない。なぜって
戦争ですべてが消えたから。
そして目立たない存在だった少し奥の通りが、なんかすごい勢いで復興して「奇跡の1マイル」と呼ばれるようになったという。それが現在の国際通り。
国際通りにもろもろとってかわられた旭橋エリアだが、いまも近くに地元の信頼厚い飲食店が点在している。中でも私が好きなのは沖縄そばの「天妃そば」。
とにかく明るい沖縄そば「天妃そば」。
ここはお昼に行くとじゅうしい(炊き込みご飯)が無料でついてくる。食べ終わったら自分で片付けるスタイルだが、最初に行ったとき、私が片付けるのを忘れて店に引き返したことがあった。
店のお姉さん「どうしたの、忘れ物?」
私「食器を片付けるの忘れました」
姉「いいわよ、じゃそのかわり100円ちょーだい!」
いきおいよくてのひらを出されて、ぽかんとしていたらお姉さんは私をものすごい力で抱きしめてこう言った。
「冗談よーーー! その代わりまた来てね!」
細身の体からは想像のつかない力の強さと、パンチのきいた沖縄ジョーク(?)にすっかりやられてしまった。あれ以上のタイトハグを受けたことはない、かもしれない。
ちなみに天妃というのは、この近くにかつてあった海の女神様「天妃」をまつった聖地のこと。いまは門しかないけれど、地元の人の信仰は続いているらしい。
小さなコップのお酒が供えてあった。
朝の遅い沖縄では昼発の羽田便に乗ろうすると、行ける店や観光地は限られる。というか、ない。そのことを知ってからは、午前中はGoogle mapで検索して、近くに小さな史跡を見つけては足を運ぶようになった。教科書に乗らない、だけど確かなひとびとの暮らしの跡。
そうするとだんだん、琉球王国に興味が出てきて、修行が終わるまでに首里の遺跡群は観ておきたいと思うようになった。とはいえ首里は、修行僧には意外とハードルが高い。地理的にも遠いし、修学旅行生も多い。
そんな私が首里に行くのは、ずっと先の話だ。