コタイ地区中心に巨大カジノホテルが林立するマカオ。どれもとにかく笑っちゃうほど巨大でスケール大きすぎるのが面白いんですが、その中でいま建築としても注目されているのがザハ・ハディド建築の「(モーフィアス)MORPHEUS」。
実は私、ここが宿泊施設であるということを知らなかったので(じゃあなんだと思ってたんだろう)、泊まるという発想もなかったのですが「とにかくこの目で見たい!」という一心でいってまいりました。
まず外観。
歩いてアプローチできる建物ではないので車窓から撮るしかないんですが、ムズい。これは自分的には奇跡の一枚。
なんともユニークなフォルムなんですが、注目すべきはこれが外骨格建造物だということ。
ようするに中に柱がない建物なんです。しかも空洞が3つも空いている斬新な形を、このアミアミのような意匠で補強して強度を保っているらしい。マカオは台風もあるので強度は大事。かっこいいだけじゃなくて、技術的に実現できたことがすごいんです。(力説)
こういう複雑なデザインを生み出してきたザハだからこそ「アンビルド(unbuild)の女王」というありがたくない二つ名を持つことになったわけですが。unbuild、つまり複雑すぎて建築できないということです。
エントランス。
ホテルのような、カジノのような、商業施設のような。まあその全部入りなんですけどそういった雰囲気を感じます。
さあ、アトリウムへ。
アトリウムの天井は立体感と光を感じる空間。
メタリックカラーの「近未来」的デザイン。私は教会に似ていると思いました。
ステンドグラスの光や、祈りを捧げる場を思わせる厳かな雰囲気。そういうイメージだったのかどうかはわからないんですが、キリスト教と縁が深く、歴史的な教会がいくつも残っている「マカオ」という土地へのリスペクトを持って作ったのではないか…と勝手に想像。
内装は「グランド・ハイアット東京」、香港の「ランドマーク マンダリンオリエンタル」などを手掛けた別の方が担当しているそうですが、コンセプトはザハの外観と統一しているのだろうな。
超高速エレベーター。すごい勢いてカゴが上下していきます。
逆サイド。そう、左右にエレベーターがあります。
この360度どこから見てもすごい風景は、ぜひ現場で体感してほしい!
ホテルのカウンター。
一泊5万円くらいらしい。
一階にはピエール・エルメのスイーツを楽しめるラウンジも。
エルメといえばバラが香る「イスパハン」シリーズのスイーツで有名ですが、ここにはザハ建築へのオマージュ的スペシャリテもあるようですよ。見たい。食べなくていいから見たい。
ちなみにアラン・デュカスのレストランも入っています。ロブションなき今、世界のメジャー級フレンチは本格的にデュカスの時代へ。なんて言ったら、そんなの当たり前ってグルメなかたにご指摘を受けそう…
カジノへの入り口の天井飾り。ここに「娯楽場はこちら」と書かれていて素敵だった。もちろんカジノは撮影禁止ですのでここまで。
ちなみにここはシティ・オブ・ドリームスという巨大な複合施設の一部。他にもグランド・ハイアットマカオ、ハードロックホテルマカオなどいくつかのホテルやレジャー施設、劇場などのエンタメ空間が統合された場所で…とにかく巨大すぎてなんとくくっていいかわかりません。見取り図を載せようと思ったけど、複雑すぎて見ると余計混乱するのでやめておきます。ホテルとレストランとカジノとデパートと劇場がいっしょくたになった施設って、日本にはないからな。
まさに東洋のラスベガス。ラスベガス行ったことないけど。
カジノを抜けた逆側のエントランスには、フードコート「SOHO」が。ここはMorpheusより先にオープンしているコーナーです。
すごいテーマパーク感。まあカジノって大人のテーマパークですからね。
鼎泰豊(ディンタイフォン)が入っています。ここがオープンした時は、ついに本物のディンタイフォンができた! ということで話題になったらしい。本物の、って…。とはいえ私はここでディンタイフォンっていう気分にもなれず「カジノで食事をしない」という自分ルールもあり、宿泊地である澳門半島へ戻ることに。
マカオフェリーターミナルなど半島の主要部分にも無料のシャトルバスがたくさん出ているので、見学するなりカジノで遊ぶなりしたら、簡単に半島に戻れます。Morpheus側からはタクシーが便利かな。
旅先では「食べる」の次に好きなものが「建築」です。
昔は買い物とかも好きだったけど建築見学は食べ歩き中心の旅の合間の運動にもなるし、勉強にもなるし。スリランカもジェフリー・バワ建築を目的に行って、いろいろ得るものがありました。
ジェフリー・バワ邸「No.11(ナンバーイレブン)」に泊まった時の宿泊記も貼っときますね。ねんのため。
めちゃくちゃ素敵でした。ああ、スリランカでバワ建築にたわむれたい。
マカオで建築をめぐる楽しみは世界遺産からザハみたいな21世紀の最新建築まで極端なくらい幅広い建築が楽しめること。
ラグジュアリーとローカルが交差する香港もいいけど、世界遺産と港町情緒と近未来がミックスされたマカオもめちゃくちゃ楽しいと思うのです。
新型ウィルスの影響で休業のカジノやホテルも多いみたいですが、早くおさまりますように。